咳に使われる代表的な漢方が麦門冬湯と五虎湯です。どちらも咳の薬ですが、向いている咳のタイプは正反対といってよいほど違います。
コンコンと乾いた咳、のどのイガイガには麦門冬湯。ゴホゴホと激しく、痰がからんで熱っぽいなら五虎湯——この違いを生薬の働きから整理します。
結論:どちらを選ぶ?
比較表
咳の「乾き」と「熱」で選び分ける
漢方では、咳を「乾いているか」「熱がこもっているか」で捉えます。麦門冬湯は、気道が乾いてコンコンと出る咳、のどのイガイガ、痰が切れにくいタイプに向く処方。かぜのあとに咳だけが長引く場面でよく用いられます。
五虎湯は、石膏が肺や気管支の余分な熱を冷まし、麻黄と杏仁が激しい咳を鎮める組み立て。痰がからんで苦しい、熱っぽさをともなうといった急性期の咳に向きます。
麻黄を含むかどうかが実用上の分かれ目
五虎湯には麻黄(エフェドリン類)が含まれます。動悸・不眠・血圧上昇・排尿トラブルの原因になることがあり、心臓病や高血圧、甲状腺機能の異常がある方、高齢の方は使用前に相談が必要です。
麦門冬湯は麻黄を含まないため、その点では選びやすい処方といえます。ただしどちらも甘草を含むため、他の漢方やかぜ薬との併用では甘草の重複(むくみ・血圧上昇)に注意してください。
シーン別の使い分け
漢方どうし、あるいは漢方とかぜ薬を重ねて飲むと、甘草や麻黄が重複しやすくなります。むくみ・血圧上昇(偽アルドステロン症)や動悸につながることがあるため、複数の薬を使う場合は薬剤師にご相談ください。
咳が2〜3週間以上続く、高熱をともなう、息苦しさや胸の痛みがある、血の混じった痰が出る場合は、ぜんそくや感染症など別の原因が隠れていることがあります。市販薬で様子を見ずに呼吸器内科などを受診してください。
よくある質問
まとめ
麦門冬湯と五虎湯は、同じ咳の漢方でも向くタイプが逆です。乾いた咳・のどの乾燥には麦門冬湯、痰がからむ激しい咳や熱感には五虎湯。五虎湯は麻黄を含むため、持病のある方や高齢の方は使用前の相談が必要です。