寒くなると「免疫力を上げたい」「毎年かぜをひきやすいので、漢方で体調を整えたい」と考える方が増えます。市販の漢方で何ができるのかを、添付文書に書かれた効能から整理します。
漢方の効能は「どんな体質の人の、どんな症状に使うか」で決められています。「免疫力」という効能をもつ市販薬はありません。そのうえで、疲れやすく、かぜをひきやすい人が候補にするのが補中益気湯です。効能に「虚弱体質」「疲労倦怠」「感冒」が含まれ、「体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいもの」が対象とされています。
- 市販の漢方に「免疫力を上げる」という効能はない
- 漢方は「体力」と「症状」の組み合わせで選ぶ
- 疲れやすく、かぜをひきやすい人の候補は補中益気湯
- 病後の体力低下や手足の冷え・貧血が気になるなら十全大補湯
- 見極めの目安は1か月。合わなければやめて相談する
なぜ「免疫力」と書かれた漢方がないのか
医薬品は、国に承認された効能の範囲でしか効き目を表示できません。市販の漢方は国の基準に沿って効能が決められており、「体力虚弱で、疲れやすいもの」のように体質を前提にして、そこに当てはまる症状が並ぶ書き方になっています。
「免疫力を上げる」「風邪をひかなくなる」と効能を書いた市販の漢方がないのはこのためです。漢方を選ぶときは、言葉のイメージではなく自分の体質と困っている症状が効能に当てはまるかで判断します。
かぜをひきやすい・疲れやすい人が候補にする漢方
| 漢方 | 対象になる体質 | 効能に含まれる主な症状 |
|---|---|---|
| 補中益気湯 | 体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすい | 虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒 |
| 十全大補湯 | 体力虚弱 | 病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血 |
| 葛根湯 | 体力中等度以上 | 感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、頭痛、肩こりなど |
※ 効能は各製品の添付文書より。葛根湯は予防ではなく、かぜのひきはじめに使う薬です。
葛根湯は「かぜに効く漢方」として知られていますが、ひきはじめに使う薬で、毎日飲んで予防する薬ではありません。使い方は葛根湯の解説ページでまとめています。
選ぶときの3つの目安
漢方は体力の目安が効能に書かれています。疲れやすく胃腸も弱いなど「体力虚弱」に当てはまるなら、補中益気湯や十全大補湯が候補です。
疲れやすさ・食欲のなさ・かぜをひきやすい感じが中心なら補中益気湯。病気のあとの体力の落ち込みや、手足の冷え・貧血も気になるなら十全大補湯です。冷えが主な悩みなら冷え性の漢方の選び方も参考にしてください。
添付文書では「1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、相談」とされています。合わないものを漫然と続けないことが大切です。
- 医師の治療を受けている、妊娠している、薬でアレルギーを起こしたことがある人は、飲む前に相談する
- 発疹・発赤、かゆみが出たら中止して相談する
- まれに、階段で息切れする・空せき・発熱(間質性肺炎)や、黄疸・褐色尿・全身のだるさ(肝機能障害)があらわれることがある。その場合はすぐに受診する
- かぜの症状が重い、高熱が続く場合は漢方で様子をみずに受診する
市販で選ぶなら
補中益気湯の市販品どうしの違いや、病院で出る補中益気湯との違いは補中益気湯は市販で買える?でくわしく比べています。
通販でまとめて買う前に
漢方は続けて飲んで様子をみる薬なので、通販のセールなどでまとめて用意したくなるかもしれません。ただし体質に合うかどうかは飲んでみないと分かりません。添付文書でも「1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止」とされています。
| 製品 | 1日量 | 1か月(30日)分の目安 |
|---|---|---|
| ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒 | 2包(1日2回) | 60包 |
| 補中益気湯エキス錠クラシエ | 12錠(1日3回) | 360錠 |
| 十全大補湯エキス錠クラシエ | 12錠(1日3回) | 360錠 |
※ 15才以上の量です。箱の包数・錠数をこの1日量で割ると、何日分かが分かります。
- まずは1か月分で体質に合うかを確かめる
- 合うと分かってから、大きい箱やまとめ買いにする
- 1日量で割って「1日あたりいくらか」で比べる
- ほかの漢方やかぜ薬を飲んでいる人は、買う前に薬剤師・登録販売者に相談する
- 睡眠時間を確保する
- 食事を抜かず、温かいものをとる
- 手洗い・うがいと、室内の加湿
- 疲れが何週間も続く、体重が減るなどのときは、漢方で様子をみずに受診する
よくある質問
「免疫力を上げる」を効能にもつ市販の漢方はありません。漢方の効能は体質と症状の組み合わせで決められています。たとえば補中益気湯の効能には、体力虚弱で疲れやすい人の「虚弱体質」「疲労倦怠」「感冒」が含まれます。
葛根湯の効能は感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、頭痛などで、予防のための効能はありません。添付文書でも、長期連用する場合は医師・薬剤師・登録販売者に相談することとされています。
添付文書では、1ヵ月位服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して相談することとされています。かぜ(感冒)に使う場合は5〜6日間が目安です。
同じ生薬が重なることがあります。医療用の補中益気湯の添付文書でも、ほかの漢方製剤と併用する場合は含まれる生薬の重複に注意することとされています。一緒に飲む前に薬剤師・登録販売者に相談してください。
製品によって年齢が違います。ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒は2歳から、補中益気湯エキス錠クラシエは5才から服用できます。それより小さい子には使えません。
まとめ
- 「免疫力を上げる」効能をもつ市販の漢方はない
- 漢方は体力と症状の組み合わせで選ぶ
- 疲れやすく、かぜをひきやすい人の候補は補中益気湯
- 病後の体力低下・冷え・貧血もあるなら十全大補湯
- 1か月で見極め、合わなければやめて相談
どのくらい続ければいいかは漢方はいつまで飲む?で、添付文書の目安とあわせて整理しています。
出典:各製品の添付文書(KEGG MEDICUS 一般用医薬品情報 2026年9月16日版)、ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書
本記事は市販薬の成分と特徴をもとにした一般的な情報です。症状の感じ方や適する薬には個人差があります。持病のある方、ほかの薬を使用中の方、妊娠中・授乳中の方は、薬剤師・登録販売者にご相談ください。